「寝る子は育つ」の科学的根拠:夜間練習と遠征が成長を阻害する理由

「寝る子は育つ」という言葉は、単なる伝承ではなく、内分泌学(ホルモンの科学)に裏付けられた真実です。子どもの身長を伸ばす「成長ホルモン」は、24時間一定に出ているわけではありません。その分泌の大部分は、夜間の「深い睡眠」の中に集中しています。

少年野球の現場で美徳とされがちな「夜遅くまでの練習」や「早朝出発の遠征」が、子どもの体作りに対していかに非効率で、成長のチャンスを奪っているのかを解説します。

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目次

1. 成長ホルモン分泌の「67%」は夜間に起こる

成長ホルモン(GH)は、脳の下垂体から「パルス(脈動)状」に放出されます。つまり、ドバッと出る時間と、ほとんど出ない時間があるのです。

  • 夜間の集中分泌: 1日に分泌される成長ホルモンのうち、約67%以上が夜間の深い睡眠中に集中して放出されます
  • 睡眠直後のピーク: 特に、眠りについてから最初に訪れる深い眠りの段階(徐波睡眠)で、最も強力な分泌ピークが訪れます。
  • 日中の状態: 日中、起きている時の成長ホルモン濃度は、通常は測定できないほど低く保たれています。

このデータが意味するのは、「質の高い睡眠時間を削ることは、身長を伸ばすための唯一のチャンスを自ら捨てている」という厳しい現実です。

2. 夜間練習と「成長のタイムロス」

少年野球のチームの中には、平日の夜遅くまで室内練習場で打ち込んだり、週末の試合のために夜遅くまでミーティングを行ったりするケースがあります。しかし、これは成長の観点からは大きなリスクを伴います。

  • 分泌チャンスの喪失: 成長ホルモンのパルス(放出)は、決まったサイクルで行われます。夜更かしをしてこのタイミングを逃すと、その日の「成長分」を取り戻すことはできません。
  • 睡眠の質の低下: 激しい運動は交感神経を刺激します。夜遅くまで練習して興奮状態で布団に入っても、深い眠り(徐波睡眠)に到達するのが遅れ、成長ホルモンの分泌ピークが弱くなってしまいます。

3. 「早朝遠征」が招く成長ホルモンの強制終了

週末、朝4時や5時に起きて遠征に出発する文化も、内分泌学的には大きな問題です。

  • 後半の分泌も重要: 成長ホルモンは寝ている間に何度もパルス状に放出されます。明け方の睡眠を強制的に中断することは、後半の分泌プロセスを遮断することになります。
  • 慢性的な「睡眠負債」: 成長ホルモンの分泌不全が続くと、筋肉の修復や骨の成長が遅れるだけでなく、疲労が回復しないまま次の練習に臨むことになり、怪我のリスクが激増します。

4. 指導者と保護者へ:野球のスケジュールを「ホルモン中心」で見直す

少年野球の最大の目的が「心身の健全な発達」であるならば、練習時間は子どもの内分泌システムに合わせるべきです。

  • 「21時就寝」の徹底: 成長ホルモンの黄金時間を最大限に活用するためには、夜21時には深い眠りに入っていることが理想です。そのために、練習の終了時間や家庭での過ごし方を逆算する必要があります。
  • 遠征スケジュールの再考: 過酷な早朝出発は、子どもの体を大きくしたいと願う保護者の努力(食事など)を台無しにする行為です。睡眠を優先した無理のない集合時間に設定することが、真の「選手第一」の運営です。
  • 根性論の「時間軸」を変える: 「遅くまでやる根性」ではなく、「早く切り上げてしっかり寝る自己管理能力」こそを、これからの少年野球では評価していくべきです。

科学的知見に基づけば、野球の練習をすることと同じくらい、あるいはそれ以上に「深く眠ること」が、アスリートとしての体を作る重要なトレーニングであると言えます。

参考文献

  • Philip G. Murray, Peter E. Clayton, “Disorders of Growth Hormone in Childhood”, Endotext (2022).
  • Berrin Ergun-Longmire, Michael P. Wajnrajch, “Growth and Growth Disorders”, Endotext (2025).
  • Andrew Calabria, “Growth Hormone Deficiency in Children”, Merck Manual Professional Edition (2024).
  • Kanthi Bangalore Krishna, Selma Feldman Witchel, “Normal and Abnormal Puberty”, Endotext (2024).
  • Pediatric Endocrine Society, “Short Stature: A Guide for Families” (2020).
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